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お で ん 家  へ よ う こ そ !!

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子育てハッピーアドバイス part 9





この記事は『子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~』の連作となっております。
出来れば、
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 1
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 2
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 3
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 4
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 5
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 6
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 7
子育てハッピーアドバイス ~自己肯定感をはぐくむ子育てを考える~ part 8
と合わせてお読みください。










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くまのこうちょうせんせい

これは、シンガーソングライターの「こんのひとみ」さんが作られた絵本です。
この本のモデルとなった大瀬先生は、在職中に不治の病にかかって、お医者さんから「あと3ヶ月の命」と宣告されました。ところがその後も、病院から学校へ通い続けて、命の授業を続けられました。
その大瀬先生との出会いを基に、この本が作られました。




「くまのこうちょうせんせい」


くま校長:「おはよう!」

毎朝、くま校長先生が 元気に迎えてくれます。

きつね君:「おはようございまーす!」
うさぎさん:「おはようございまーす!」


くま校長:「ひつじ君、おはよう!」
ひつじ君:「おはようございます・・・・・」
ひつじ君は、小さな声しかでないんですね。


くま校長:「勇気を出してごらん。
いつか 大きな声で おはようが 言えるようになるよ」

校長先生は、
ひつじ君の頭を
やさしく なでてくれました。


その日、ひつじ君は 学校の帰り道、
やまびこ山で、「おはよう」の 練習をしました。
何度も 何度もしました。
でもどうしても、大きな声は 出ないのです。

大きな声は、ひつじ君を 悲しくさせるもの ばかりでした。
夜、ベッドで 寝ている時に 聞こえてくる、
お父さんと お母さんの けんかの声・・・・・・。
お母さんが ひつじ君を しかる時の声・・・・・・。

ひつじ君は 大きな声が こわかったのです。


次の朝、担任の しか先生が言いました。

「校長先生が、入院されました。」
「えー! あんなに元気な校長先生が?」

みんなは、びっくりしました。

(ぼくが、大きな声で「おはよう」って 言えなかったから、
 校長先生は、がっかりして 病気になっちゃったのかな・・・・・・)

ひつじ君の目から、涙が こぼれ落ちました。


校長先生が 入院してから、
3ヶ月が たちました。
校長先生は 大きな声で
お話する事が 出来なくなりました。
ご飯も 食べられなくなりました。
でも、お医者さんや 看護師さんは、
「大きな声を 出して下さい」とは 言いませんでした。
校長先生の 小さな声に、
じっと 耳をすましてくれたのです。


病院には、子どもたちから
絵や、手紙が、
いっぱい 送られて来ました。


その中に ひつじ君の 手紙も ありました。

「くまのこうちょうせんせいへ
 ぼくはまだ おおきなこえで「おはよう」っていえないけれど、
 こうちょうせんせいが だいすきです。
 はやく こうちょうせんせいに あいたいです。
 こうちょうせんせいに あえたら
 ゆうきが わいてくると おもいます。
                ひつじより」


校長先生は お医者さんに たのみました。

「私の顔を見ると 元気が出るという
 子どもたちがいるのです。
 私も、子どもたちにあえると、今より
 元気になるような 気がするのです。
 ここから 学校に 通わせて下さい。」

お医者さんは、言いました。

「無理をしない事、夜には 必ず
 病院に 戻って来る事、
 この2つを、約束して下さいね。」


次の日の朝、校門には ニコニコ顔の
校長先生が 立っていました。

うさぎさんも きつね君も 大喜びで

「おはようございまーす!」

と言いました。

「おはよう・・・」

校長先生の声は、それはそれは 小さな声でした。

ひつじ君は「おはよう」を 言おうとしましたが、
先生の やせて 小さくなった
顔を 見ているうちに、
胸がジーンとして、声が出ませんでした。


その日の 帰り道、
ひつじ君が やまびこ山に向って 歩いていると、
後から ゆっくり歩いて 来た校長先生が、

「ひつじ君、一緒に行こうか」

と言いました。

そして、小さな 優しい声で こう言いました。

「先生ね、病気になって わかった事が あるんだよ。
 大きな声を 出そうと思っても、出せない時が あるんだね。
 出来なくなって、初めてわかったんだ。
 ひつじ君、大きな声を 出そうねって、
 いっぱい言って、本当に悪かったね」


山の頂上で、○○○○
(聞き取れず)
校長先生が うずくまってしまいました。

「たいへんだ!

 どうしよう!

 どうしよう!」


ひつじ君は、夢中で 叫びました。


「たすけてー!

 校長先生が たいへんだー!

 たすけてー!」



ひつじ君の声は、山に響きわたり、
やまびこが 病院まで、
ひつじ君の声を 運んで行ってくれました。


校長先生は、お医者さんに 少し しかられてしまいました。

「ありがとう、ひつじ君。
 先生、夢中で話しているうちに 
 無理している事を 忘れちゃったね」

笑っている 校長先生に、
ひつじ君は 言いました。

「校長先生、ぼく、大きな声が出た時、
 自分でも ビックリしたー。
 だけど、気持ち良かった!」

校長先生は、うれしそうに うなずきました。


くま校長:「入ってきま~す!」
医者:「無理をしないで下さいよ」
くま校長:「は~い!」

今日も、校長先生は、
病院から 学校へ
出かけて行きます。

今では、校長先生の
小さな声を、
ひつじ君が、大きな声で
みんなに伝えています。




…というお話です。
この話をご覧になって、
「最後には大きな声が出たじゃないか、出そうと思えば出るだろう。」
と思う人もいるかも知れません。

しかし、最後にひつじ君が大きな声を出せたのは、
周りから「もっと声を、出せ出せ」と言われたからでは、ないのです。

「大きな声を 出そうと思っても、出せない時が あるんだね。
 出来なくなって、初めてわかったんだ。
 ひつじ君、大きな声を 出そうねって、
 いっぱい言って、本当に悪かったね」
と、ひつじ君の「大きな声を出そうと思っても、どうしても出せない」というつらさ・悲しさを、校長先生がわかってくれたのです。
そこで、校長先生とひつじ君の、心と心が繋がったのです。
そういう校長先生が倒れたから、何とか助けたいと思って、ひつじ君は大きな声が出せたという訳です。


我々は、子どもたちを見ていて、
「何で、このくらい出来ないのか?」
「何で、このくらいの事をやらないのか?」
「もっと、しっかり!」
「もっと、がんばれ!」
と言いたくなる時があります。

確かにそのように「がんばれ」と言われて、出来るようになる子もいます。
それはそれで、素晴らしい事です。

しかし、「がんばれ」と言われてでも、どうしても出来ない事もあります。
そういう時には、やろうとしてもどうしても出来ない、その子どものつらさ・悲しさをわかってやる。
という事によって、逆に子どもの力を引き出すという事もあるのです。


このモデルとなった大瀬先生は


「子どもは明るく元気が一番と、大人は思いこんでしまいます。
 でも本当は、子どもは小さくて弱いものなのです。
 子どもたちの痛みを分かち合うのが、大人の役目だと思います。」


と、口癖のように言っておられたそうです。

今の時代を生きる子どもたち、
こういう世の中で生きている子どもには、子どもなりのいろいろなストレス・不安を抱えています。
そういう中を一生懸命に生きている
その子どもたちの痛み・つらさを、理解して支えていく。
それによって、子どもの生きる力を育む事が出来る事があるのです。

それは、子どもだけでなく、大人も同じです。
特にこういう時代の中で、子育てしているお母さん・お父さん。
「最近の親は・・・」とか言われたりもしますが、
今は今で、昔には無かった、別の不安・つらさ・困難があるのです。
そういう中で一生懸命に子育てしている
お母さん・お父さんの不安を理解し、苦労をねぎらい、支えていく事も大事だと思います。

大人も子どもも
お互いの不安を理解しあって
お互いに支えあう
そんなふうになっていけたら、いいなと思います。





長編にお付き合いくださり、ありがとうございました<(_ _)>











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